2018-01-01から1年間の記事一覧

笑い合うsummer

私たちの間にあるのは友情ではなかったし、夏だけではなく春も秋も冬もあった。でもなぜか、いつも夏だった気がしている。思い出すシーンが、すべて夏になる。初夏の木漏れ日。炎天下。夏の夜。雷を伴う夕立ち。夜店。秋の気配。秋の気配。一番最後に、そし…

Vie et mort

日常生活にあるもっとも身近な「生と死」は何だろう、とふと考えて、「あ、食事だ」と思った。 ひとりで食べる時は個人的に単なる「餌」だとしか思っていないのでほとんど料理はしない。そしてひとりで、あるいは誰かとお店で食べるのではなく、家で、誰かと…

羅針盤

手のひらを空に向けて、伸びをする。その手の甲をしばし眺める。 羅針盤を与えられた時から、そうするようになった。 私の針は空と地の両方を指している。 どこまでも広がっている空。境目のない空。刻々と表情の変わる空。足がついている地面。歩いていく地…